実施計画

年度別の具体的な研究内容

【平成25年度】

プロジェクト初年度は実験環境の整備を行う。その間、協同的学びの概念整理をおこない、研究者間のディシプリンの違いによる分析用語のばらつきを調整・共通化を図る。

実験環境が整い次第、5人組(コーチ1人、メンバー4人)を使ってアクションラーニング(質問会議)のグループ対話のビデオ分析を行う。ビデオ分析によって、表情や声のトーン、体の動きなどメンバー間の凝集性・同調性のレベルが測定できる。さらに、メンバー間の凝集性の高まりを促進する認定コーチ(熟練者)と学生コーチ(初心者)の介入の比較を行い、各メンバーの内省の速さと深さ(質)を評価する尺度を作る。メンバーへのインタビューを通じて尺度の妥当性を検証する。

この実験環境を使ってLTD(Learning Through Discussion)方式の実験授業を行い、授業時の話し合いをビデ
オ分析する。また、学生に話し合い活動の記録を使ったグループの振り返りを定期的に行い、振り返り自体をグループポートフォリオとして蓄積させる。この蓄積された相互評価を参照させて内省を促し、学生の学習態度の変容を測定する。

【平成26年度】

様々な協同学習技法を用いた実験授業を実施する。協同学習は技法によってグループ構成員の数や役割、
活動の長さや成果点検の仕方などに違いがある。したがって、技法によって学生の能動性発動のレベルに違いが生まれる。実験授業では、プロトコル分析や振り返り記述の分析によって技法の効果を検証する。その際に、学習者特性に基づいたグループ編成を行い、各グループメンバーの相互作用をビデオ分析する。これにより、協同学習の技法に応じた効果的なグループ編成パターンの類型化を試みる。

次に建設的討論法(Academic Controversy)による二者間の葛藤解決を意図した対話のプロトコル分析を行
い、共感的対峙場面における共感の程度を評定し、共感度の高低が解決案創出に与える影響を解明する。その際、対話者同士が双方の逐語記録を参照することで、共感的対峙に至る対話の特性理解を促す。また、建設的討論法は学習内容の多面的理解および批判的思考を促進する。そこで、共感的対峙体験が批判的思考力養成にどの程度効果があるのかを検証する。

【平成27年度】

様々なグループ学習・協同学習における相互作用を映像と逐語記録によって振り返ることができる本システムは、毎回の振り返りと相互評価を蓄積し、e-ポートフォリオの作成を支援することができる。そこで、学期を通じて継続的に実験授業を行い、本システムによって蓄積される学習履歴・学習成果を使ったポートフォリオ評価を実施する。これにより、協同的な学びを積み重ねることで、どのような成長変化があったのかを自己評価させることができる。そして、自己評価の内容を分析することで、協同的な学びの学習効果を整理・検証する。

最後に2年間の知見を踏まえ、自立的な学びに向けた内省を促す相互評価を組み入れた、協同的学びの授業デザインを提案・試行する。この提案も含め2年間の研究成果をまとめた成果発表を兼ねたシンポジウムを開催する。