実践事例紹介

「教育心理学Ⅰ」

2016/02/19

基本情報

担当教員名 関田 一彦
手法 ポートフォリオ
難易度
ワーク グループワーク
規模 大教室

教育目標

本授業では、学校という組織において、教員という専門家集団によって営まれる、学習指導と生徒指導に集約される「教育」という活動を、心理学的な視点から考える。教職課程の科目でもあり、幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程(障害のある幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程を含む)に関する理解を深めることも、この授業のポイントである。また、この授業は、各自の予習を前提としたディスカッション中心のスタイルをとる。ディスカッションを通じて、相互に学習経験や既習知識の活用・関連付けを促すため、授業中はペア・グループ活動を多用している。本授業の到達目標は、以下の4つである。
  1. 幼児、児童及び生徒の心身の発達に関する基礎知識をもつ。
  2. 幼児、児童及び生徒の学習の過程に関する基礎知識をもつ。
  3. 教育現場の諸課題に対する教育心理学的な考察ができる。
  4. 自らの理解を他者と共有し、よりよい課題解決や状況理解に至ることができる。

授業概要

本授業は1学期15週30回で、各回の成果物を用いてポートフォリオを作成し、第29回にリフレクションと呼ばれる自己評価とポートフォリオを用いた相互評価を行っている。ポートフォリオ作成から相互評価までのおおまかな手順は以下である。

  1. 成長・変化を測る指標・項目(評価規準)に沿って、学習成果物を整理・編集する(=ポートフォリオ作成)。
  2. ポートフォリオを評価基準に基づいて評価する(=ポートフォリオ評価)。
  3. 必要があれば、成長を示す典型的・象徴的な成果物を選び、ベストコレクション(凝縮ポートフォリオあるいはショーケースポートフォリオと呼ぶ)を作る。
  4. 凝縮ポートフォリオを使って、自分の学びを他人(保護者・教師・クラスメイト)に説明する。

学生がポートフォリオ作成にあたり保管するデータは、毎回のグループ活動での学習成果を客観的に記述したものと、自身が感じたことを記述したものである。数回の授業が経過した時点で、学生はこのポートフォリオを用いてグループ活動による取り組みを振り返り、学生は自身の学びの成果を可視化(メタ認知)し、自律的な学習展開につなげていく。

第29回で行われるリフレクションでは、最終的な成果物とそれに対する評価などを行う。その際にポートフォリオが活用される。リフレクションによって、学びはじめと、その途中、そして終着点での成果物を比べると、どのような知識や技能が身につき、どのような気づきや学びがあったのか、様々に振り返り、確認することができる。つまり、ポートフォリオは自分がどこから出発し、どこに向かっていこうとしていたのか、学生が後から点検するときの大切なツールとなる。

第29回では学生同士の相互評価も行っている。出発点での目標確認や中間点での振り返りに際し、仲間からの承認と修正・調整要請がなされると、学習者の取組みはより確かになる。教師からの承認や修正指示は、達成すべき外的基準を押しつける行為にもなりかねない。教師が望むように記述することを意識し過ぎると、自分の言葉で自分にとって大切な目標を記述することが難しくなるからである。しかし、自分の立てた目標を仲間に承認してもらうことを想定して振り返る(自己評価を記述する)ようにすれば、安心して取り組むことができる。学生同士の相互評価では、自己評価を書き留めてまとめたものを使って、仲間に自身の成長を説明させる。それに対して、仲間からの承認と、更なる成長に向けた励ましを受けることで、次の学期への学習意欲が向上していく。